急性中耳炎から慢性中耳炎への進行~慢性化膿性中耳炎編~
一言で慢性中耳炎と言っても、その種類は化膿性と真珠腫性と大きく2つに分かれます。ここでは主に化膿性中耳炎についてご説明しますね。
よく思われがちな間違いなのですが、この慢性中耳炎というのは子供さんが急性・滲出性の中耳炎を繰り返している・・という状態の事を言うのではないのですね。
細かく言うと、急性中耳炎をきちんと完治させなかった事からの移行が多いようです。大きな炎症が治まり、薬の服用を止めてしまったり、受診を途中で止めてしまったりして結局、治りきらなかった部分が悪化してしまうのですね。
その他にも体力・体質・原因菌などによって鼓膜穿孔(鼓膜に穴があいた状態)が起こり、閉じなくなってしまった結果、耳だれが出る場合も化膿性中耳炎と言います。鼓膜の穴は放っておいても閉じる事が多いのですが、原因によっては閉じにくい場合もあります。
つまり、人の耳は炎症がひどくなり、膿がいっぱいに溜まると、自然に鼓膜に穴があきその膿を排出しようとするんです。(突然耳だれが・・なんて症状が正にその時なのですね)
でも、通常、その穴は放っておいても自然に閉じますが、痛みがなくなったからと言って放置したり、膿をキレイに取り去って完治させていないと穴が塞がらなくなってしまう事があるんです。この、穴のあいた状態が続き、そこに感染症状が起こるのが化膿性中耳炎と言う事になります。
主な症状としては、耳だれがあります。一般的に粘液膿性で濃い黄色い色をしていています。粘りがあり、ネタネタしています。
無臭の事が多いですが、この粘液に悪臭を伴う場合は真珠腫性の可能性が高いです。耳だれは繰り返し起こりますが、その都度治療していれば症状が改善されます。(洗浄などを定期的に行うだけでも、感染予防にも大きな効果があります)
でも、放置したままですと、どんどん進行していく場合もあります。だんだんと鼓膜の穴が大きくなり、感染を繰り返し起こる状態が続くと、内耳にまでその影響が出始めてきます。内耳にまで炎症が届くと、その結果、感音難聴・耳鳴りを引き起こし耳が聞こえにくくなります。
そうならないためにも、耳だれが続く・音が聞こえにくいと感じた時はすぐに耳鼻科を受診して下さい。また、急性中耳炎や滲出性中耳炎の既往歴がある方は特に注意をして、耳鼻科受診を心がけるようにして下さいね。